■手のひらの「過敏と鈍感」の症状に悩まされて

　日々、神さまの祝福を受けている私の息子は、自閉症です。息子の今の趣味は、調理と図工なのです。
　調理と図工が趣味…、数年前は、そんなことは考えられませんでした。なぜなら、自閉症の症状として「過敏と鈍感」があります。一貫性のない反応があり、肌の過敏は、物ををしっかりとつかむ事が難しいのです。
　息子の手のひらは鈍感で、強い衝撃でないと手があると感じることができず、また指先は過敏で、少し触れただけでも、気持ちが悪く感じてしまい、生まれてからずっと悩まされてきました。
　１歳から４歳のころは、１日中奇声を上げ、「僕の手はあるんだ」と叫ぶように、壁を叩き、手が有ることを確認しているようかに思えました。
　止めようと手に触れると、指先は過敏のため、「あ〜」と叫び、逃げ回ってしまい、私は、手に触れないように抱き締め、息子に「大丈夫だよ」と叫びました。それは、まさしく悲しく砕けそうな自分自身に、「大丈夫。大丈夫」と言い聞かせているようでした。日々、その繰り返しの生活を送っていました。

■イエスさまを信じ、教会に行く中で

　息子が３歳のころ、四日市に引っ越しをしました。治療に病院にも通いましたが、息子の体は、日々成長し、力も強くなり、おまけに多動症もプラスし、状況は悪化するばかりでどうすることもできずにいました。
　その中で、教会に行き、イエスさまを信じることになりました。
　教会に行き、祈ってもらいました。「自閉症がいやされるように。手のひらの鈍感と指先の過敏がいやされるように、祈ってください」とお願いしました。
　いつも、治療に通う時は、「イエスさま、息子をいやしてください。また、治療の時も共にいてください。私の恐れを取り除き、弱い私を助けてください」と祈りが導かれていました。祈る中で、平安が与えられ、前向きになり、喜んで教会に通えるようになりました。

■いつも喜び、感謝をする

　そして、教会では、「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです」（テサロニケ人への手紙第一５章16―18節）と語られていました。
　その神のことばを聞き、たとえ状況が変わらなくても、喜び、感謝している中で、私の思いも変わり、「神さまが祝福している素晴らしい息子なんだから、絶対にこのままで終わることがない」と、神さまに期待して歩めるようになりました。

■「過敏と鈍感は完治しています」

　そして、ついに５歳のころに、医師から「過敏と鈍感は完治しています」と言われたのです。ハレルヤ！　その後、機能発達障害の治療へ進むことができたのです。
　次のステップの指先の治療は、地味な作業を繰り返しすることでした。長い忍耐と気力の勝負を試されました。
　最初は、豆つかみやナット回しの訓練で、簡単な作業のように思えますが、なかなか思うようにいかず、混乱し暴れてしまうこともたびたびありました。
　時には、私自身が倒れそうになりましたが、教会で祈りの助けを受け、息子とともにその訓練を続けることができました。
　家でも、生活の中で、指先が使える事は手伝ってもらうようにし、洗濯ばさみを留めることから、調理にもチャレンジしました。
　野菜を切ったり、小麦粉をこねて自分のおやつを作ってみたりして、大変にも思えましたが、息子のペースに合わせ、一緒にたくさんの事ができるようになりました。
　そして、教会でいやしを祈りを続けることで、神さまは、去年から急激な変化を見せてくれるようになりました。

■パズルや料理もできるまでにいやされた
　
　今では手先がしっかり動き、80ピースのパズルを一度に何種類もできるようになり、はさみも初めは両手で開いたり閉じたりしていましたが、今年は普通に使いこなせるまでになりました。指先は自由に動き、最近では少しですが、カーブ切りもできるまでになったのです。
　調理も、手助けをしながらの作業でしたが、今はたった一人で、手順カードを自分で見ながら、クッキーを作ることもできるようになったのです。
　今、振り返ると、ほんの数年前は、自閉症の症状である「過敏と鈍感」に悩まされ、今のようにたくさんのことができるようになるとは想像もできませんでした。最近では、自分の思いを初めて言葉にして言い表すことができました。
　山をも動かす、奇跡を行う神さまに期待して、さらに完全に自閉症がいやされるように、祈りつつ、教会にしっかりとつながり、神さまの栄光を見ていきたいと思います。いやし主、イエスさまに心から感謝をささげます。

　荒木里江子　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　（み声新聞　659号掲載）